【レビュー】VEKTOR『Terminal Redux』(2016年)

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vektor terminal redux

米産プログレ・スラッシャー3作目

アメリカのプログレッシブ・スラッシュメタルバンド、2016年リリースの三作目。

VEKTORは2004年結成の4人組。2009年に”Black Future”でアルバム・デビュー、2011年には2nd”Outer Isolation”をリリースしています。

約5年ぶりの新作となる本作は、2ndアルバムのタイトル曲の歌詞から着想を得たという、バンド初のコンセプト・アルバム。

過去作を踏襲しつつドラマチックな要素をプラス

個人的には長いアルバムって集中力が続かなくてあまり好んで聴かない方なので、発売前に本作のトラック・リストが公開されたとき、10曲で73分という収録時間の長さに正直ゲンナリしたことを白状しておきます(笑)。

とはいえ、それでもVEKTORのサウンドには(私の好みにピッタリとは嵌らないものの)惹かれるものがあったので本作も恐る恐る聴いてみた次第。

巷では”Sci-Fi Thrash Metal Band”と称されるだけにどこかSF的な雰囲気を帯びた、攻撃的かつ起伏の激しい展開を見せる楽曲のスタイルには従来と大きな変わりはなく、過去2作の延長線上に位置する作風だと思いました。狂気的に捩じくれながら暴れまわるようなそのサウンドはもはや「VEKTORサウンド」として確立した感がありますね。

これまでのアルバムと比べるなら、やはり比較的コンパクトな構成の前作よりも、同じく大作志向の内容であった1stに近い印象です。単純なアグレッシブさという意味では1stの方が強烈だったかなという感じですが、本作ではよりドラマチックな要素が強まったように感じられるのが特徴的です。

女性コーラスやバラード調ナンバーが印象的

#1″Charging the Void”#10″Recharging the Void”では女性コーラスまで導入した展開が印象的だし(この2曲が最初と最後に位置するのもドラマ性を感じさせて良いですね)、#9″Collapse”はなんとDavid DiSanto(ボーカル)が寂しげにメロディをなぞる「歌」を聴かせるバラード調ナンバー。彼のボーカルはクレイジーなシャウトも健在ながら、ここへ来て新境地に達したと言って良いかも知れません。

ただ、それまでのアルバムで披露していた、ヤカンでお湯を沸かした時のような高音(若い方は知らない可能性あり/笑)のシャウトが聴けない点だけは残念でした。あの人間離れした叫び声、好きだったんだけどなあ(笑)。

このバンドらしい攻撃性も健在 #7の間奏がハイライト

やや音楽性の幅が広がったとはいえ、このバンドらしい暴虐的なまでの攻撃性はしっかり保たれているのもナイス。複雑に入り組んだリフとリズムが次々と押し寄せる楽曲群はやはりカッコよく、テクニカルな演奏も圧巻。特に#7″Psychotropia”のギターソロ&ベースソロは文句なしにカッコいい本作のハイライトです。

彼らならではの「凄味」を感じさせる一枚

正直、そうは言っても私には長すぎるし、疲れている時と満腹のときにこれを聴いたら途中で居眠りしない自信はないですが(笑)、アグレッシブさをキープしつつも音楽的な深化を遂げた、ファンの期待を裏切らない内容と言っていいでしょう。

これまでのアルバム同様、他のバンドにはない「凄味」を感じさせる一枚。ひょっとしてコイツら、天才なのでは?

Bandcampでも販売中

本作は所属のEarache RecordsのBandcampでも販売中。#7の間奏がめっちゃカッコイイのでオススメです。

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無題

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コメント

  1. ぶりぶりざえもん より:

    やっと、この日がやってきました!!自分は国内盤で購入しました。
    “Ultimate Artificer”、”Charging The Void”はかなり前から
    YouTubeでUpされていましたが、あえて聴かずに我慢してました(笑)
    でも、約5年は長かったですね、ワーカホリックなバンドなら2枚は発表
    してる訳ですから。肝心のアルバムですが、Voivod+Destructionは
    かなり鳴りを潜め、Vektorの独自性が確立されたと思います。
    話題にならなかったら、日本のメタルシーン腐ってるとしか思えません(断言!)
    また、来日して欲しいです!!

    • DevilGateBlogger より:

      ぶりぶりざえもんさん、コメントありがとうございます!

      今度のも良いアルバムでしたね。
      日本のリスナーは分かりやすい音を求める人が多いような気がするので(私もそうです)VEKTORの複雑なサウンドがどう捉えられるかな、という感じですが、日本でもウケて欲しいですよね。

  2. Loki Holst より:

    ぶりぶりざえもんに言いたい事が先に言われてましたね!笑

    若手スラッシャーといえば、Lost Societがやたらと推されてますが、
    その度にVektorはどうした?と思ってしまいます。笑

    • DevilGateBlogger より:

      Loki Holstさん、コメントありがとうございます!

      Lost Societyも人気ありますね。
      ぶりぶりざえもんさんへのコメントと重なる部分がありますが、「取っ付きやすさ」という点ではLost Societyに譲るものがあるのかもしれません。
      しかし今度のも「VEKTOR印」の良作だったので、もっと日本でも支持されるといいですね。

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